電気が来ているか、いないか。それを確認せずに作業するのは、目隠しをして高速道路を歩くようなものです。 電気工事士にとっての『第3の目』、それがデジタルマルチメータ(テスター)です。今回は、現場で1日に何度も行う『電圧測定』の正しい作法を解説します。
測定前の「儀式」:レンジ確認とリードチェック
テスターを壊す、あるいは感電事故を起こす原因の多くは、初歩的なミスです。
- 交流電圧(AC V)レンジに合わせる: 直流(DC)レンジでコンセントを測ると、テスターが壊れたり、正確な値が出ません。
- リードの断線確認: 測定前にテスター同士のチップ(先端)を当てて導通を確認。これを行わないと、『電気が来ていない』のではなく『テスターが壊れていた』ことに気づかず、活線に触れてしまう恐れがあります。
実践:片手で測るのが「プロの安全策」
電圧を測る時、両手でリードを持ってはいけませんか? 正解は『できるだけ片手(または片方を固定)』です。
- 理由: 万が一、測定中に感電した際、両手で持っていると電流が『心臓』を通りやすくなり、致命傷になるからです。片手をポケットに入れるか、背中に回して測るのが、古くからの職人の知恵(理論的にも正しい安全策)です。
トラブル切り分け:100V?0V?それとも50V?
コンセントを測って、数値がこう出たらどう判断しますか?
- 101.5V: 正常。
- 0V: ブレーカーが落ちている、あるいは断線。
- 50V前後(浮遊電圧): 近くの電線からの誘導、または中性線の欠相などが疑われる。
テスターはただの数字を出す箱ではありません。その数字から、『壁の中で何が起きているか』を推理するための道具なのです。


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