「そこ、支持点間距離が空きすぎ!」
現場で一度はこう怒られた経験、ありませんか?
でも、怒られた瞬間はなんとなく「はい、すみません」で流してしまって、なぜダメなのかをちゃんと理解しないまま次の現場に行く。そのループを続けると、また同じ指摘を受けることになります。
この記事では「支持点間の距離を2m以下にする」というルールの根拠と、現場で即実践できる正しい施工方法を解説します。怒られた翌日から動けるようになることが目標です。
そもそも「支持点間距離」とは何か
ケーブルを壁や天井に固定するとき、固定する点と点の間隔のことを「支持点間距離」といいます。
要するに、**「ケーブルを留めるクリップやサドルの間隔」**のことです。
この間隔が広すぎると、ケーブルが自重でたわんで垂れ下がります。見た目が悪いだけでなく、ケーブルに継続的なストレスがかかり、長期的に被覆の損傷につながります。
ルールの根拠:内線規程で何m以下と決まっているのか
内線規程および電気設備技術基準により、工事の種類ごとに支持点間距離の上限が決められています。
| 工事の種類 | 支持点間距離の上限 |
|---|---|
| ケーブル工事(水平布設) | 2m以下 |
| ケーブル工事(垂直布設) | 6m以下 |
| 合成樹脂管(PF管)工事 | 1m以下 |
| 金属管工事 | 2m以下 |
| 金属線ぴ工事 | 1m以下 |
現場で最もよく指摘されるのが「ケーブル工事の水平布設:2m以下」です。VVFケーブルを天井や壁に沿わせて引くときのルールですね。
なぜ「2m以下」なのか?根拠を理解しておく
「なんとなく2mと覚える」のではなく、根拠を知っておくと応用が効きます。
支持点間距離の制限には2つの理由があります。
①ケーブルのたわみによる被覆損傷の防止 ケーブルは自重があります。支持点間が広くなるほどたわみが大きくなり、その部分のケーブルに継続的な曲げ応力がかかります。長期間放置すると被覆が劣化し、最悪の場合は漏電・地絡の原因になります。
②地震・振動による移動の防止 固定点が少ないと、地震や振動でケーブルが大きく揺れます。他の配管や構造物に干渉して被覆が傷つくリスクがあります。
ギルドマスター・モリの現場メモ
正直に言うと、「2m以下」のルールが完璧に守られているのは新築工事くらいです。
改修工事や既存建物の増設工事では、ビニールテープで引っかけてあるだけ、あるいはインシュロック(結束バンド)で適当に留めてあるだけの配線が山ほど出てきます。
撤去工事のとき、インシュロックで他の配管にぐるぐる巻きにされているケーブルを引っ張っても全然抜けない、という経験は現役電工なら誰でも一度はあるはずです。
「前の職人がいい加減だったから」で終わらせずに、自分がやる工事だけは正しくやる。それが積み重なって信頼になります。
新人のうちに正しい施工を体に染み込ませておけば、後から直す手間も、怒られる回数も減ります。
現場で即実践:正しい支持の方法
使う材料
ケーブルの支持に使う材料は主に以下の3つです。
①ステープル(ケーブルクリップ) VVFケーブルの固定に最もよく使います。木材や石膏ボードへの固定に向いています。打ち込みすぎてケーブルを潰さないように注意してください。
②サドル 金属管や合成樹脂管の固定に使います。ビス止めで確実に固定できます。コンクリート面への固定にはカールプラグと組み合わせます。
③インシュロック(結束バンド) ケーブルラックや配管への仮固定に使います。ただし、インシュロックだけでの支持は強度が不十分なケースもあるため、本固定にはサドルやクリップを使うのが基本です。
施工のコツ
- 2mを超える前に必ず1箇所固定する。「だいたい2mくらい」ではなく、2mを超える前に固定する習慣をつけてください。
- コーナー部分は必ず固定する。曲がり角の直前・直後は支持点を設けるのが原則です。
- 垂れないように引っ張りながら固定する。固定してからたわんでいることに気づいても、後から直すのは手間がかかります。
試験でも出る:支持点間距離に関する問題のポイント
第2種電気工事士の筆記試験でも、支持点間距離は出題されます。覚えておくべきポイントは以下の通りです。
- ケーブル工事の水平布設:2m以下
- ケーブル工事の垂直布設:6m以下
- PF管(合成樹脂製可とう電線管):1m以下
- 金属管工事:2m以下
「PF管は1m、ケーブルは2m、垂直は6m」という組み合わせで頭に入れておくと混乱しません。
まとめ
- 支持点間距離はケーブルのたわみによる被覆損傷と振動による移動を防ぐために決められているルールです。
- ケーブル工事の水平布設は2m以下、垂直布設は6m以下が内線規程の基準です。
- 現場では守られていないケースも多いですが、自分の施工だけは正しくやる習慣が信頼につながります。
- 固定材料はステープル・サドル・インシュロックを使い分け、コーナー部分は必ず固定することを忘れないでください。
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