【分岐回路の完全ガイド】電線の太さ・ブレーカー選定・現場の落とし穴まで現役電工が解説

【魔導書の解読】基礎知識・計算

「この回路、どこに繋がってるんだ…」

既存建物の改修工事で分電盤を開けたとき、配線がぐちゃぐちゃで回路の判別ができない。ブレーカーには何も書いていない。落としても何が消えるかわからない。

しかも追加しようとしたら分電盤にスペースがない。

これ、現場あるあるです。

この記事では分岐回路の基本から電線の選定・ブレーカーの選び方・現場で実際に困る場面まで現役電工6年目が本音で解説します。

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分岐回路とは何か

分電盤から各部屋や機器に電力を供給するための回路を分岐回路といいます。

住宅では照明・コンセント・エアコン・IHなど用途ごとに回路を分けて配線します。回路を分けることで、一つの機器が故障してもほかの機路に影響が出ない仕組みになっています。


分岐回路の種類と電線の太さ

内線規程では分岐回路の定格電流に応じて電線の最小太さが定められています。

分岐回路の定格電線の最小太さ主な用途
15A以下1.6mm以上一般照明・コンセント
20A2.0mm以上エアコン専用・台所コンセント
30A2.6mm以上大型機器専用

現場でよくあるミスが「なんとなく1.6mmでいいだろう」という判断です。20A回路に1.6mmを使うと電線が過熱して火災の原因になります。分岐回路の定格に合った電線を選ぶことが基本です。


専用回路が必要な機器

以下の機器は専用回路が必要です。他の機器と同じ回路に繋いではいけません。

エアコン(2.5kW以上)
単相200V・20A専用回路にVVF2.0mmを使用します。

IHクッキングヒーター
消費電力が最大5.8kWと大きいため、単相200V・30A専用回路が必要です。既存住宅でIHに変更する場合は分電盤の容量アップが必要になることが多いです。

電気自動車(EV)充電
単相200V・20A以上の専用回路が必要です。近年急増しています。

洗濯機・食器洗い乾燥機
接地極付きコンセント(E付き)の専用回路が推奨されます。


ブレーカーの選定

分岐回路の過電流遮断器(ブレーカー)の定格電流は電線の許容電流以下にする必要があります。

また幹線の過電流遮断器の定格電流は幹線の許容電流の2.5倍以下が原則です。

漏電遮断器(ELB)が必要な場所

  • 水気のある場所(台所・洗面所・浴室周辺)
  • 屋外のコンセント
  • 対地電圧150Vを超える回路

これらの場所には配線用遮断器(MCCB)ではなく漏電遮断器(ELB)を使用します。


ギルドマスター・モリの現場メモ

改修工事で一番困るのは「既存回路の判別」と「分電盤のスペース不足」の2つです。

既存回路の判別ができない

古い建物の分電盤を開けると、ブレーカーに何も書いていないことがよくあります。どのブレーカーがどの部屋に繋がっているか全くわからない状態です。

こういうときの対処法は2つです。

①検電器で一本ずつ確認する
ブレーカーを一つ落として、検電器で各部屋のコンセント・照明を確認していく。地道ですが確実な方法です。

②施主に協力してもらう
施主が建物内を回って「どこの電気が消えたか」を確認してもらう。一人では無理なので必ず協力者が必要です。

回路の判別が終わったら必ず分電盤にラベルを貼っておきます。次に工事する人への最低限のマナーです。

分電盤にスペースがない

増設工事で分電盤を開けたら空きスペースがゼロ。こういう場面も珍しくありません。

対処法は主に3つです。

①分電盤を大きいものに交換する
根本的な解決策ですが費用がかかります。施主に相談して判断してもらう必要があります。

②既存回路を整理して空きを作る
使われていない回路や統合できる回路がないか確認します。ただし勝手に回路を変更すると問題が起きることがあるので慎重に判断します。

③小型ブレーカーに交換してスペースを確保する
分電盤のメーカーによっては既存ブレーカーをスリムタイプに交換してスペースを確保できる場合があります。

どの方法を選ぶかは分電盤の状態と施主の予算によります。現場で一人で判断せず、必ず施主と相談してから進めることが重要です。


住宅の標準的な分岐回路数

内線規程では延べ床面積120m²以下の住宅で7回路以上の分岐回路を標準としています。

ただし近年はエアコン・IH・EV充電・食洗機など専用回路が増えているため、新築住宅では15〜20回路以上が標準になっています。

古い住宅では回路数が少なく、タコ足配線による過負荷が火災の原因になることがあります。リフォームのタイミングで分電盤の見直しを提案することも電工の重要な仕事です。


コンセント増設工事の注意点

既存回路からコンセントを増設する場合の注意点です。

①既存回路の容量を確認する
その回路に接続されている機器の合計電流が定格を超えていないか確認します。すでにギリギリの状態の回路に追加すると過負荷になります。

②電線の太さを確認する
既存の電線が何mmか確認してから増設します。既存が1.6mmなら15A以下の回路として扱います。

③接地極付きコンセントが必要な場所を確認する
台所・洗面所・洗濯機置き場などにはE付きコンセントが必要です。既存回路にアース線が来ているか確認が必要です。


電圧降下にも注意

分岐回路が長くなると電圧降下が大きくなります。内線規程では引込口から最終負荷までの電圧降下は2%以下が目標とされています。

電線を長く引く場合は電圧降下の計算をして、必要に応じて電線を太くする対応が必要です。

電圧降下の自動計算ツールはこちら→ 電圧降下計算フォーム


まとめ

分岐回路工事のポイントを整理します。

  • 20A回路は2.0mm以上・15A以下は1.6mm以上
  • エアコン・IH・EVは専用回路が必須
  • 水気のある場所はELB必須
  • 既存回路の判別は検電器で一本ずつ確認
  • 分電盤にスペースがない場合は施主に相談してから判断

改修工事では「既存がどうなっているか」を確認することが全ての出発点です。わからないまま工事を進めると後で大きなトラブルになります。確認に時間をかけることを惜しまないことが現場での鉄則です。⚡️


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