「CVTの許容電流、何sqで何アンペアだっけ……」
現場で幹線を引くとき、図面を持っていても、あの表を全部暗記している電工は正直少ないです。でも、「何となく知っている」と「根拠を持って即答できる」の差が、プロとしての信頼につながります。
この記事では、CVT(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース3心より線ケーブル)の許容電流をスケア別に整理しつつ、現場で実際に使える**暗記の「型」**をお伝えします。試験対策にも、実務の再確認にも活用してください。
そもそもCVTとは何か
CVTを一言で言えば、**「幹線工事の主役ケーブル」**です。
- C :Cross-linked polyethylene(架橋ポリエチレン)絶縁
- V :Vinyl sheath(ビニルシース)
- T :Twisted(3本より合わせ)
CVケーブルの3心より線バージョンがCVTです。3本を撚ることで取り回しがしやすくなっています。分電盤への引き込みや、動力回路の幹線として、現場では必ずといっていいほど目にするケーブルです。
【スケア別早見表】CVT許容電流一覧
※周囲温度40℃・気中布設(単条)の標準値。施工条件によって変わるため、設計時は必ずメーカー技術資料を確認すること。
| スケア(sq) | 許容電流(A) | 現場での主な用途 |
|---|---|---|
| 5.5sq | 49A | 小型動力、住宅幹線 |
| 8sq | 61A | 一般住宅メイン幹線 |
| 14sq | 88A | 店舗・集合住宅の幹線 |
| 22sq | 115A | 100Aクラスの二次側 |
| 38sq | 152A | 150Aクラスの幹線 |
| 60sq | 202A | 200Aクラスの幹線 |
| 100sq | 279A | 大規模施設の主幹線 |
| 150sq | 352A | 工場・商業施設 |
| 200sq | 414A | 特大容量の受変電設備 |
【本題】現場で使える「CVT許容電流の覚え方」
正直に言います。全部丸暗記は不可能ですし、する必要もありません。
大切なのは**「ざっくりした感覚値」と「計算の引き出し」を持つこと**です。以下の3つを頭に入れておくだけで、現場での判断スピードが格段に変わります。
①「22sqで約100A」を基準点にする
CVTの許容電流を覚えるなら、まずここだけ覚えてください。
22sq ≒ 115A → 「22sqで100Aを余裕で流せる」
なぜ22sqを基準にするのか。それは、100Aのメインブレーカー二次側に使われる最も一般的なサイズだからです。現場で「100Aの幹線何sqで引く?」と聞かれたとき、「22sqで大丈夫です」と即答できれば、それだけで信頼が上がります。
②「スケアが倍になっても、電流は倍にならない」を知る
これを知らずに丸暗記しようとすると、必ず混乱します。
許容電流は断面積(sq)に比例しません。正確には断面積の平方根に近い関係で増加します。つまり:
- 22sq → 115A
- 44sq(22sqの2倍)→ 約160A(115Aの2倍にはなりません)
「倍にしたら倍流せる」という思い込みは危険です。実際の表の数値を、上の基準点から「増え方が鈍くなる」イメージで紐付けておくと、頭に入りやすくなります。
③「ブレーカーの定格」と「必要なCVTのsq」を対応表で覚える
現場での実用性を考えると、「このブレーカー容量ならこのsqを使う」という対応関係の方が、許容電流の数値を丸暗記するより100倍役に立ちます。
| ブレーカー定格(A) | 最低限必要なCVT | 現場でよく使う選定 |
|---|---|---|
| 30A | 5.5sq(49A) | 5.5sq |
| 50A | 8sq(61A) | 8sq |
| 75A | 14sq(88A) | 14sq |
| 100A | 22sq(115A) | 22sq |
| 150A | 38sq(152A) | 38sq |
| 200A | 60sq(202A) | 60sq |
| 300A | 100sq(279A) | 100sq |
この表をスマホに保存しておいてください。現場での選定作業が劇的に速くなります。
実務で必ず確認すべき「電流減少係数」
許容電流の表は、あくまでも理想的な条件(単条・気中布設)での数値です。実際の現場では以下の条件によって必ず補正が必要になります。
複数条の布設(多条布設)
電線管にCVTを複数本まとめて通すと、相互に熱の影響を受けて許容電流が下がります。
| 同一管内の条数 | 電流減少係数 |
|---|---|
| 3条以下 | 0.70 |
| 4条 | 0.63 |
| 5〜6条 | 0.56 |
| 7〜15条 | 0.49 |
例:22sqのCVTを同一管に4条通す場合 115A × 0.63 ≒ 72A が実際の許容電流になります。 これを無視して100Aのブレーカー二次側に使うと、理論上は電線がオーバーロードになります。
周囲温度の影響
標準の許容電流表は周囲温度40℃を基準としています。天井裏や機械室など、40℃を超える場所では許容電流はさらに下がります。真夏の現場では特に注意が必要です。
ギルドマスター・モリの現場メモ
新人の頃、先輩に「22sqで100A引けるか確認しろ」と言われて、電卓を叩いて計算し始めたことがあります。
先輩は5秒で「22sqでいい」と言い切りました。
当時は「なんでそんなに速いんだ」と思っていましたが、今ならわかります。「22sqで100A」という基準点が頭に入っていれば、あとはそこから判断するだけです。
全部覚えようとしないでください。まず「22sqで100A」の一点を完全に刻み込んでから、そこを起点に広げていく。それが現場で使える知識の積み方です。
まとめ:CVT許容電流、覚えるのはこの3点だけでいい
- 「22sqで約115A(≒100Aブレーカーの二次側に使う)」を基準点にする
- 「スケアが倍でも電流は倍にならない」という感覚を持つ
- 「ブレーカー定格とCVTのsq」の対応表を現場で使える形で持っておく
そして、多条布設と周囲温度の補正係数を忘れないこと。 これが、表を丸暗記するよりも何倍も実務で使える「本物の知識」です。
関連記事:


コメント