メガーの指針が『0』を指した。あるいは、0.1MΩをギリギリ切っている……。 そんな時、ただ闇雲に壁を剥がすのは素人のやることです。プロは、出た数値の『質』から、壁の中で何が起きているかをプロファイリング(推測)します。
今回は、異常数値から原因を特定するロジカルな手順を伝授します。これができれば、あなたも立派な現場の探偵です。
数値のパターン別:原因のプロファイリング
メガーの指針がどう動くかで、犯人の目星がつきます。
| 数値の挙動 | 予測される主な原因 | 現場での「あるある」 |
| 0MΩ(ゼロメグ) | 完全な地絡(金属接触) | ビスで電線を踏み抜いた、ボックス内で銅線が枠に触れている、器具の内部短絡。 |
| 0.01〜0.05MΩ | ひどい湿気・浸水 | 屋外ジャンクションボックスへの雨水侵入、配管内の結露。 |
| 0.05〜0.1MΩ | 絶縁体の劣化・汚れ | 古いコンセントの裏側に溜まった埃(トラッキング現象)、機器の老朽化。 |
| 数値がフラフラ動く | 接触不良・半断線 | 接続部が緩んでいる、あるいは水分が蒸発しながら漏電している。 |
原因箇所を特定する「二分法(絞り込み)」の手順
広い現場で1箇所の漏電箇所を探すのは大変です。以下の手順で範囲を狭めましょう。
ステップ1:負荷(家電・器具)をすべて外す
一番多い原因は「建物」ではなく「繋がっている機器」です。
- 行動: コンセントをすべて抜き、照明のスイッチをすべて切る。
- 結果: これで数値が回復すれば、犯人は外した機器のどれかです。
ステップ2:分岐ブレーカーで切り分ける
盤の中にはたくさんのブレーカーがあります。
- 行動: 主幹(メイン)を切り、分岐ブレーカーをすべて落とす。一つずつ順番に上げてはメガーをかける。
- 結果: 特定のブレーカーを上げた時だけ数値が悪くなるなら、その先の回路(部屋やエリア)に原因があります。
よくある「犯人」と対処方法
現場で遭遇率の高いケーススタディです。
① 「ビス踏み」:内装工事後のトラブル
- 現象: 内装ボードを貼った直後にメガーが「0」になった。
- 原因: ボードを止めるビスが、壁の中の電線を貫通している。
- 対処: メガーを振ったまま、怪しい場所のビスを1本ずつ抜いていく。数値が跳ね上がった瞬間のビスが犯人です。
② 「水濡れ」:屋外灯やコンクリート埋設管
- 現象: 雨の日だけ数値が悪くなる。
- 原因: 屋外器具のパッキン劣化や、配管内に溜まった水。
- 対処: 接続部を開けて乾燥させる。あるいは、絶縁性の高い電線(VVR等)への交換を検討する。
③ 「電子機器の保護抵抗」
- 現象: 故障していないのに、常に一定の低い数値が出る。
- 原因: 最近の家電やLED照明には、ノイズ対策でアースに微弱な電流を逃がす回路が入っている場合があります。
- 対処: 説明書を確認し、測定時にそれらを回路から切り離す。
対処の黄金ルール:焦って通電しない
『ちょっとくらいなら大丈夫だろう』という妥協は、後で火災という大きなツケになって返ってきます。
- 原則: 基準値を満たさない限り、絶対にその回路のブレーカーを上げてはいけません。
- 報告: 原因がどうしても見つからない時は、正直に先輩や監督に報告しましょう。隠すのが最大の罪です。

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