RC造の新築マンション現場で、最も「取り返しのつかない」工程があります。
それがスラブ配管・ボックス取付・スリーブ設置です。
コンクリートを打設してしまったら、もう配管は入れられない。ボックスがなければ器具が付けられない。スリーブを入れ忘れたら壁や梁を後から貫通させることになります。
この工程は打設前に完了させることが絶対条件です。打設スケジュールは待ってくれません。この記事では、スラブ配管・ボックス取付・スリーブ設置の手順と、打設当日の立会いで確認すべきことを解説します。
→ 全体の工程はRC造新築マンション電気工事の全体像で確認できます。
この工程で使う主な材料・工具
材料
| 材料 | 用途 |
|---|---|
| CD管(合成樹脂可とう電線管) | スラブ内の配管。オレンジ色 |
| アウトレットボックス | スイッチ・コンセント・照明器具の取付ベース |
| スタッドバー | ボックスを型枠に固定するための金具 |
| ヴォイド管 | 壁・梁の貫通部に設置するスリーブ |
| 結束線 | 配管・スリーブの結束・固定 |
なぜスラブ配管はCD管を使うか
スラブ内の配管にはCD管(Combined Duct)を使います。CD管はコンクリートに埋設することを前提に作られた可とう管で、オレンジ色が特徴です。柔軟性があるため鉄筋の間を縫うように配管できます。
PF管はコンクリート埋設用ではないため、スラブ配管には使いません。露出配管や隠蔽配管(ボード内)で使う管です。
スラブ配管の手順
① 打設スケジュールを把握する
最初にやることは打設スケジュールの確認です。型枠大工・鉄筋工の進捗を毎日確認して、「いつ打設か」を早めに把握しておきます。打設の2〜3日前には配管・ボックス取付・スリーブ設置が全て完了している状態が理想です。
打設当日に「まだ終わってない」は通用しません。打設は止められないからです。
② 配管ルートを計画する
型枠が組まれた後、配管ルートを決めます。ポイントは以下の通りです。
鉄筋との干渉を避ける
スラブ内には鉄筋が密に配筋されています。配管は鉄筋の上か下を通すことになりますが、鉄筋の密度が高い箇所は配管が通りにくい場合があります。事前に配筋図を確認して配管ルートを計画しておくと当日の作業がスムーズです。
設備配管との競合を確認する
給排水・空調の配管も同じスラブ内を通ります。配管ルートが競合しないよう、設備業者と事前に調整しておくことが重要です。後から「ここ通れない」となると大きなロスになります。
配管はできるだけ短く・直線的に
スラブ内の配管が長くなると入線が困難になります。できるだけ短く、曲がりを少なくするルート計画が後工程を楽にします。
③ CD管を敷設する
配管ルートが決まったら、CD管を敷設します。
- 鉄筋に結束線で結束して固定する。結束間隔は内線規程では1m以下が推奨されているが、スラブ配管の場合は打設時の振動でズレないよう1m以内を目安にしっかり固定する
- 配管がズレないようにしっかり固定する(打設時の振動でズレることがある)
- 管の端部は養生テープや専用キャップで塞いで、生コンが入らないようにする
- 管の曲げは手で緩やかに曲げる(急角度は入線困難になる)
- 複数の配管が集中する箇所はスペーサーを使って管同士の間隔を確保する
- 被り厚に注意する:配管が鉄筋より外側(型枠側)に出てしまうとコンクリートの被り厚が確保できず配筋検査・竣工検査で指摘される。配管は鉄筋の内側に収めるか、設計図書で指定された被り厚を必ず確認してから配管する
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結束は丁寧に
配管の結束が甘いと打設時の振動でズレてしまいます。後からズレが判明しても修正できないため、結束は丁寧かつしっかり行うことが重要です。「これで大丈夫か?」と感じたらもう一本番線を追加する、くらいの意識で作業してください。
アウトレットボックスの取付手順
① ボックスの種類と選定
スラブに取り付けるボックスはアウトレットボックスを使います。コンクリート埋設用のボックスで、型枠に固定してコンクリートと一体化させます。
取付位置の確認
施工図をもとに取付位置を確認します。照明器具の位置・スイッチの位置・コンセントの位置が図面で指定されているため、正確な位置に取り付けることが重要です。位置がずれると器具取付時に修正が困難になります。
② スタッドバーで型枠に固定する
ボックスはスタッドバーを使って型枠に固定します。
- スタッドバーをボックスに取り付け、型枠にしっかり固定する
- ボックスの天端(上面)が型枠の天端と同じ高さになるよう調整する(高さが合わないと後で問題が生じる)
- ボックスの開口部に養生テープを貼って生コンが入らないようにする
高さ調整は慎重に
ボックスの高さがずれると、ボード工事後にボックスが飛び出したり沈み込んだりします。スタッドバーで高さを調整しながら固定してください。
スリーブ設置の手順
スリーブとは何か
スリーブとは、コンクリートの壁や梁を電線管やケーブルが貫通するために設置する筒状の部材です。スリーブを入れずにコンクリートを打設してしまうと、後から壁や梁に穴を開けなければならなくなります。
RC造の新築マンションでは、ヴォイド管(紙製の円筒型スリーブ)を使用します。
スリーブ設置の手順
- 施工図でスリーブの位置・サイズを確認する
- 鉄筋に番線で固定する(ズレ・脱落を防ぐ)
- スリーブの両端を養生して生コンが入らないようにする
- スリーブの位置が施工図と合っているか最終確認する
スリーブの入れ忘れは最悪の事態
スリーブを1箇所入れ忘れただけで、後から壁や梁に穿孔(コア抜き)しなければならなくなります。コア抜きは構造体に影響する可能性があり、監理者・構造設計者への確認が必要になるケースもあります。施工図と照らし合わせて、入れ忘れがないか必ず確認してください。
打設立会いのポイント
コンクリートの打設当日は必ず立会いを行います。立会いで確認すべき主なポイントは以下の通りです。
配管・ボックスのズレ確認
打設が始まると生コンの重みと振動で配管やボックスがズレることがあります。打設中も随時確認して、ズレが生じたらすぐに修正します。
配管の潰れ確認
生コンの重みで配管が潰れると、後から電線を通せなくなります。特に配管が集中している箇所は潰れが起きやすいため注意が必要です。
生コンの侵入防止
配管端部・ボックス開口部・スリーブ端部の養生が外れていないか確認します。生コンが侵入すると配管・ボックス・スリーブが使えなくなります。
バイブレーター(振動機)との接触に注意
打設時にはバイブレーターという振動機を使ってコンクリートを締め固めます。このバイブレーターが配管に当たると配管がズレたり潰れたりすることがあります。コンクリート打設業者に配管の位置を事前に伝えて、バイブレーターが当たらないよう注意してもらうことが重要です。
ギルドマスター・モリの現場メモ|「まだ大丈夫」が一番危ない
この工程で一番危険なのは「まだ大丈夫」という油断です。
「あと1日あれば終わる」と思っていたのに、突然打設が前倒しになることが現場ではよくあります。型枠大工の都合・天候・コンクリート工場のスケジュールなど、電気工事側でコントロールできない要因で打設日が変わることがあります。
常に「明日打つかもしれない」という意識で作業を進めてください。打設スケジュールは毎日確認して、余裕を持って完了させることが、この工程で後悔しないための唯一の方法です。
まとめ
- CD管:スラブ配管専用。コンクリート埋設対応のオレンジ色の管
- アウトレットボックス:スタッドバーで型枠に固定。高さ調整が重要
- ヴォイド管(スリーブ):壁・梁の貫通部に設置。入れ忘れは最悪の事態
- 結束は丁寧に:打設時の振動でズレないようしっかり固定
- 養生を忘れずに:配管端部・ボックス・スリーブへの生コン侵入を防ぐ
- 打設立会いは必須:ズレ・潰れ・生コン侵入をリアルタイムで確認する
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打設前に終わらせた者だけが、次の工程に進める⚡

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